AI画像生成でポートレートを作るとき、背景は「スタジオ」「ビーチ」「都市の夜景」など映える場所が選ばれがちです。しかし、あえて「映えない」日常空間を指定するとどうなるのか。コンビニの蛍光灯、コインランドリーの洗濯機、裏路地のグラフィティ壁といった生活感のある背景を、プロンプトでどこまで制御できるか検証しました。
実験条件
被写体の基本プロンプトを固定し、場所の記述だけを変更して比較します。
- seed: 3001, 3100, 3200(3シード固定)
- 変更する変数: 場所・背景の記述(1変数のみ)
- 被写体の基本記述:
1girl, 32yo japanese actress, standing indoors, casual clothes, t-shirt and shorts, looking at camera
全4条件で各3枚、計12枚を生成しました。
コントロール(neutral background)
まずは場所の指定なし、neutral background のみの出力を確認します。
| seed 3001 | seed 3100 | seed 3200 |
|---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
3枚とも灰色〜ベージュの無地壁が背景になりました。照明はフラットで影が少なく、スタジオや屋外壁面のような印象です。被写体のTシャツとショーツの指示は3枚とも反映されています。
実験1: コンビニ(convenience store)
inside a convenience store, cluttered shelves behind her, fluorescent ceiling lights を追加します。
| seed 3001 | seed 3100 | seed 3200 |
|---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
3枚とも明確にコンビニの通路内が描かれました。確認できた背景要素は以下の通りです。
- 商品棚: 3枚中3枚で両側に商品が並ぶ通路構図が生成された
- 蛍光灯: 3枚中3枚で天井の蛍光灯が確認できた。
fluorescent ceiling lightsの記述が効いている - 商品の質感: ペットボトル、洗剤、調味料など日本のコンビニらしい商品配置が3枚とも確認された
- 床: 白〜グレーのタイル床で、コンビニらしい質感
コントロールと比較すると、照明が蛍光灯特有のフラットで白い光に変化し、被写体の肌色にも影響が出ています。
ラボ長コメント: コンビニの再現度やばくない? 棚のごちゃごちゃ感まで出てるの、
cluttered shelvesが仕事してるっぽい。蛍光灯の白い光で生活感マシマシなのも良い。
実験2: コインランドリー(laundromat)
inside a laundromat, washing machines in background, harsh fluorescent lighting を追加します。
| seed 3001 | seed 3100 | seed 3200 |
|---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
コインランドリーも3枚とも高い再現度でした。
- 洗濯機: 3枚中3枚でドラム式洗濯機が背景に複数台確認できた。円形のドア窓もはっきり描かれている
- 蛍光灯: 3枚中3枚で天井の直管蛍光灯が描写された。
harsh fluorescent lightingにより、コンビニ条件よりもやや硬い光の印象 - 操作パネル・看板: 料金表示や操作パネルらしきディテールが2枚で確認された
- 床: タイル床が3枚とも確認でき、コインランドリー特有の清潔感がある
washing machines in background という直接的な記述が背景の核となる要素を確実に配置させています。
実験3: 裏路地(back alley)
standing in a narrow back alley に変更し、graffiti walls, wet pavement, dim streetlight を追加します。これは屋外条件です。
| seed 3001 | seed 3100 | seed 3200 |
|---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
屋外の裏路地も安定して再現されました。
- 狭い路地: 3枚中3枚で両側に壁がある狭い路地が描写された。
narrow back alleyの記述通り - グラフィティ: 3枚中3枚で壁面にグラフィティが確認できた。色使いやスタイルはスプレー缶で描いたような質感
- 濡れた路面: 3枚中3枚で地面が濡れている描写が確認できた。水たまりの反射も2枚で確認
- 街灯: seed 3200で背景に薄暗い照明が確認できた。ただし
dim streetlightの「薄暗い」効果は限定的で、全体的には昼間〜夕方程度の明るさ
裏路地条件では被写体にショルダーバッグが追加される傾向が3枚中2枚で見られました。場所の記述が被写体の小物にも影響を与えている可能性があります。
ラボ長コメント: 裏路地、指定してないのにバッグ追加されてるの面白い。「路地歩いてる人=バッグ持ってる」みたいな傾向があるのかも。
条件間の比較(seed 3100 固定)
同一seed(3100)で4条件を横並びにします。
| コントロール | コンビニ | コインランドリー | 裏路地 |
|---|---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
同一seedでも場所の記述によって背景が大きく変化していることが確認できます。被写体のポーズや体型は概ね維持されていますが、衣服の色やデザインは条件間で異なります。場所のプロンプトが衣服の色選択にも影響を与えている可能性があります。
まとめ
日常空間のプロンプト記述について、以下の傾向が確認されました。
- 場所の名称 + 具体的オブジェクト の組み合わせが効果的。
convenience storeだけでなくcluttered shelvesを加えることで背景の密度が上がる - 照明の記述 は場所の雰囲気に影響する。
fluorescent ceiling lightsとharsh fluorescent lightingで同じ蛍光灯でも硬さが変わる傾向が3枚中2枚で確認された - 屋外条件 では場所のプロンプトが被写体のアクセサリー(バッグ等)にも波及する傾向があった(3枚中2枚)
wet pavementは3枚中3枚で反映された。路面の質感指定は再現度が高いdim streetlightの薄暗さ効果は限定的。明確に暗い画を出すにはnightやlow key lightingなど別の記述が必要かもしれない
「映えない」日常空間でも、具体的なオブジェクトと照明条件を記述すれば高い再現度で生成できます。スタジオ撮影一辺倒から脱却して、ストーリー性のあるポートレートを作りたい場合に有効なアプローチです。
ラボ長コメント: 生活感ある写真って逆に難しいんだよね。コンビニとコインランドリーの蛍光灯の差が出せるの、地味にすごいと思った。














