結論を先に
slit mouth, mouth corners cut open to her earsは3枚中0枚で完全に無視された。 口元はコントロールと同じ通常の唇のまま。glasgow smileは3枚中3枚で頬に赤い傷線を描写した。 本編3種の中では最も口裂け女に近い出力。ただし「口自体が耳まで裂けて開く」描写は出ず、傷はメイクの線のような表現にとどまる。impossibly wide grinning mouthは3枚中3枚で「楽しそうな大笑い」になった。 口の幅は解剖学的に正常な範囲で、ホラー感はゼロ。- マスク差分は同一seedで安定して作れる。 白いサージカルマスクは3枚中3枚で出現し、目元・構図の同一性もおおむね維持された。
- 【追試】
deep lacerations at the corners of her mouthが現状の最適解。 血の滲む傷を口角に3枚中3枚で描写し、glasgow smileの副作用(笑顔化・シーンの明化)も出ない。 - 【追試2】傷の左右対称化は
on both cheeks+symmetricallyで指定できる(3枚中3枚)。 ただし「耳まで届く傷」は全21枚の傷系出力で一度も出ず、頬の中央あたりが実質の上限。 - 【追試3】
snake-like mouthは「口に本物のヘビを咥えた女」に化ける(3枚中3枚)。 比喩が実物として解釈される。 - 【追試3】
mouth line extending far toward her earsがシリーズ初の「耳まで届く口の線」を出した(3枚中1枚)。 傷(wound/laceration)ではなく口の線(line)として指定するのが、頬中央の天井を破る突破口だった。
口裂け女というモチーフ
口裂け女は「マスクの女が『私、きれい?』と尋ね、マスクを外すと口が耳まで裂けている」という都市伝説。画像生成の題材としては、次の2つの技術要素に分解できる。
- マスクあり/なしの差分 — 同一seedでマスクだけを着脱し、「マスク美人」と「素顔」の2枚組を作れるか
- 口裂け表情 — 「口が耳まで裂けている」という解剖学的に異常な表現をどのフレーズで出せるか
2は人体の破綻をあえて作る指定であり、写実特化モデルがどこまで応じるかは未知数。3種類のフレーズを比較する。
実験設計
| 項目 | 値 |
|---|---|
| モデル | z-image-turbo(6B、写実特化蒸留) |
| ステップ | 8 |
| サンプラー | euler / ddim_uniform |
| CFG | 1.0 |
| サイズ | 1024x1024 |
| seed | 42, 43, 44 固定 |
| 各条件 | 3枚 |
| 合計 | 本編5条件 + 追試6条件 × 3 = 33枚 |
ベースプロンプト
条件一覧
| 条件 | 追加キーワード | 狙い |
|---|---|---|
| A00: コントロール | なし | 素顔のベースライン |
| A01: mask | wearing white surgical mask | マスク差分 |
| B01: slit | slit mouth, mouth corners cut open to her ears | 口裂けの直接描写 |
| B02: glasgow | glasgow smile, long scars extending from mouth corners to ears | 傷として描写 |
| B03: grin | impossibly wide grinning mouth, grin stretching from ear to ear | 笑みの誇張として描写 |
追試(C群)は本編の「傷として描写するのが最善手」という結果を受けて、傷の語彙をさらに掘り下げた2条件。seedは同じ42, 43, 44。
| 条件 | 追加キーワード | 狙い |
|---|---|---|
| C01: lacer | deep lacerations at the corners of her mouth | 裂傷としての描写 |
| C02: wound | open bleeding wounds stretching from the corners of her mouth to her ears | 開放創+出血の描写 |
追試第2弾(D群)は「両口角から耳まで対称に裂けた傷」を狙った2条件。seedは同じ42, 43, 44。
| 条件 | 追加キーワード | 狙い |
|---|---|---|
| D01: ear2ear | deep lacerations on both cheeks, running symmetrically from each corner of her mouth all the way to her ears | 両頬対称・耳までの明示 |
| D02: slitear | D01 + her mouth slit open from ear to ear | 裂け口の直接表現を併記 |
追試第3弾(E群)は動物比喩の借用。「ヘビのような口」で口の構造ごと幅広にできるかを試した2条件。seedは同じ42, 43, 44。
| 条件 | 追加キーワード | 狙い |
|---|---|---|
| E01: snake | snake-like mouth | ヘビの口の比喩(素のフレーズ) |
| E02: reptile | wide reptilian mouth, mouth line extending far toward her ears | 爬虫類の口+口線の到達範囲を明示 |
各条件の検証
A00: コントロール(素顔)
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: 3枚とも夜の住宅街+街灯+トレンチコートで、スマホスナップ風の質感。seed 42と43は正面、seed 44は振り返りの横向き構図。なお suburban street は3枚とも洋風の郊外住宅街として描かれ、日本の住宅街にはならなかった。
A01: 白いサージカルマスク
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: 3枚中3枚で白いサージカルマスクが出現。seed 42と43はコントロールとほぼ同じ立ち位置・構図・目元が維持され、「同じ人物がマスクを着けた」2枚組として通用する。seed 44はコントロールの横向きから正面向きに変わり、前髪も追加されたため、差分ペアとしての同一性は下がった。マスク種の安定性はマスク種類別検証の surgical mask の結果とも一致する。
B01: slit mouth(直接描写)
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: 3枚中0枚。口元はコントロールとほぼ同じ通常の唇で、裂け目も傷もいっさい描写されなかった。構図・表情のわずかな揺らぎを除けば、キーワードが存在しないかのような出力になっている。
B02: glasgow smile(傷として描写)
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: 3枚中3枚で頬に赤い傷線が描かれた。seed 43は両頬に対称の傷線が耳方向へ伸び、本編5条件の中で最も口裂け女に近い。seed 42は左頬と首、seed 44は両頬と顎・首に散った傷になった。ただし「口が裂けて開いている」描写は3枚中0枚で、傷は皮膚表面の線にとどまる。副作用として3枚中3枚で微笑み表情になり(smile の語に引っ張られたとみられる)、シーンも夕暮れ寄りの明るい住宅街に変化した。
B03: impossibly wide grin(笑みの誇張)
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: 3枚中3枚で口を大きく開けた笑いになったが、口の幅は解剖学的に正常な範囲を超えず、首をかしげた楽しげなスナップ写真になった。「異常に広い」というニュアンスは反映されず、ホラーとしては機能しない。
追試: 裂傷語彙の掘り下げ
C01: deep lacerations(裂傷)
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: 3枚中3枚で口角に血の滲む生々しい傷が描かれた。seed 42は両口角から頬へ伸びる縫合痕状の傷+血の垂れで、シリーズ全体を通して最も口裂け女に近い1枚。glasgow smileで出た笑顔化はなく、3枚とも無表情のまま。夜の暗いシーンも維持された。医学用語寄りの lacerations は「傷の位置指定」が正確に効き、副作用も確認されなかった。
C02: open bleeding wounds(開放創)
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: こちらも3枚中3枚で血の滲む傷が出たが、位置の制御はC01より甘い。seed 43は傷が顎から首筋へ流れ、seed 44は右頬から耳方向+首と、「口角から耳へ」という指定位置から傷がドリフトする。出血量はC01より多く、ホラーの生々しさは上がるが、口裂け女の「左右対称に口角から裂ける」記号性はC01のほうが再現しやすい。
D01: 両頬対称・耳まで(明示指定)
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: on both cheeks + symmetrically の明示で、3枚中3枚が左右対称の傷になった(C01は片寄りが2枚)。一方で「耳まで届く」は3枚中0枚で、傷は頬の中央あたりで止まる。さらにseed 42と43では傷の向きが指定と異なり、目元から下へ落ちる縦の傷にドリフトした。seed 44は口の周囲から放射状に広がるひび割れ状の対称傷で、静止画のホラーとしてはシリーズ全体のベスト。
D02: 裂け口の直接表現を併記
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: slit open の語が「開いた口」として解釈され、3枚中3枚で歯の見える大口+両頬の対称傷線の組み合わせになった。B03(wide grin)で観察された笑顔化が傷付きで再現された形で、口自体の裂けは3枚中0枚。深夜の住宅街で傷のある顔が大口で笑う画は、「マスクを外した後の口裂け女」の動的なカットとしては使える。
E01: snake-like mouth(ヘビの口の比喩)
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: 予想外の解釈。3枚中3枚で口の形状は変わらず、代わりに口に本物のヘビを咥えた女が生成された。seed 43は緑のヘビ、seed 44はヘビを横向きに咥えている。「〜のような」という比喩が形状の類似ではなく実物の登場として解釈された。口裂けとしては機能しないが、蛇を咥えて無表情で立つ女はそれ自体ホラーの画になっている。
E02: 爬虫類の口 + 口線の到達範囲
| seed 42 | seed 43 | seed 44 |
|---|---|---|
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観察: シリーズ27枚の傷系・裂け系出力で一度も出なかった「耳まで」が、ここで初めて出た。seed 42は開いた口の両端から細い線が水平に伸び、耳の位置まで到達している。seed 44も両口角から縫い目状の黒い線が頬へ伸び、口裂け女の記号に近い。一方seed 43は reptilian が尖ったエルフ耳に化け、口は通常のまま。3枚とも口が開いた表情になる副作用がある。傷(wound/laceration)ではなく「口の線(mouth line)」として指定することが、到達範囲の天井を破る鍵だった。
| 素顔 | マスク | glasgow smile | wide grin |
|---|---|---|---|
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同一seedでも、glasgow smile と wide grin は表情が笑顔に変わり、背景の明るさも変化している。差分として最も安定しているのはマスク着脱のペア。
考察
解剖学的な破綻は素直には出ない
「口が耳まで裂ける」という直接表現(B01)は完全に無視され、誇張表現(B03)は正常範囲の笑いに丸められた。写実特化モデルでは、解剖学的に異常な顔の描写を正面から指定しても通らないという結果になった。
傷として指定するのが現状の最善手
本編で唯一効いたのは glasgow smile で、これは「裂けた口」ではなく「頬の傷跡」という皮膚表面の描写に変換されて出力された。口裂け女的な画を作りたい場合、口の変形ではなく傷・特殊メイクの方向で指定するのが現実的。
追試ではこの方向をさらに掘り下げ、deep lacerations at the corners of her mouth が「血の滲む傷+無表情+夜のシーン維持」を3枚中3枚で達成した。glasgow smile の弱点だった笑顔化・シーンの明化がどちらも出ておらず、口裂け女の画作りは現状これが最適解となる。傷の位置精度を求めるなら lacerations(C01)、出血の生々しさを求めるなら open bleeding wounds(C02)と使い分けられる。
「傷」には天井があり、「線」なら破れる
追試第2弾では on both cheeks + symmetrically の明示で傷の左右対称化に成功した(3枚中3枚)。一方で「耳まで届く傷」はwound/laceration系の7条件21枚を通して一度も出ず、傷の到達範囲は頬の中央あたりが上限だった。
この天井を破ったのが追試第3弾のE02で、傷ではなく「口の線が耳の方へ伸びる(mouth line extending far toward her ears)」という言い方に変えたところ、3枚中1枚で線が耳まで到達した。「皮膚の傷」と「顔のパーツの輪郭線」では通る指定の範囲が違うとみられる。静かな対称傷ならD01、笑う口裂け女ならD02、耳まで届く線を狙うならE02と、現状は3通りの使い分けになる。
比喩は実物に化ける
snake-like mouth は口の形状ではなく「ヘビそのものを咥えた女」を3枚中3枚で生成した。「AのようなB」という比喩表現は、Aの属性転写ではなくAの実物召喚として解釈されるリスクがある。動物の顔構造を借りたい場合も、比喩ではなく具体的な視覚属性(線の位置・長さ等)で指定するほうが意図に近づく。
差分作りにはマスクが最適
同一seedでのマスク着脱は3枚中2枚で高い同一性を維持した。口裂け表現と組み合わせるなら、「マスクあり」→「マスクなし+glasgow smile」の2段構成が現状作れる範囲の落とし所になる。
メモ: b03の「大笑いの女」は、深夜の無人の住宅街という背景と合わさると、明るい表情のはずなのに妙な違和感があった。恐怖表現が笑顔に丸められた結果として、かえって不気味の谷に落ちている。
まとめ
| フレーズ | 口裂け効果 | 副作用 |
|---|---|---|
wearing white surgical mask | —(差分用) | seed 44で向き・前髪が変化 |
slit mouth, mouth corners cut open to her ears | なし(3枚中0枚) | なし |
glasgow smile, long scars... | 頬の傷線(3枚中3枚) | 笑顔化、シーンが明るく変化 |
impossibly wide grinning mouth... | なし(3枚中0枚) | 大笑いの表情に |
deep lacerations at the corners of her mouth | 口角の血の滲む傷(3枚中3枚) | なし |
open bleeding wounds...to her ears | 血の滲む傷(3枚中3枚) | 傷位置が首筋へドリフト |
on both cheeks...symmetrically...to her ears | 対称の傷(3枚中3枚)、耳までは0枚 | 縦傷へのドリフト(3枚中2枚) |
上記 + her mouth slit open from ear to ear | 対称の傷+大口(3枚中3枚) | 笑い顔化 |
snake-like mouth | なし(実物のヘビを咥える 3枚中3枚) | — |
wide reptilian mouth, mouth line extending... | 耳まで届く口の線(3枚中1枚)、口角の線2枚 | 開口、尖り耳化(1枚) |



































