【実験】フィルムシミュレーション・撮影スタイル比較|10条件・30枚で検証

【実験】フィルムシミュレーション・撮影スタイル比較|10条件・30枚で検証

結論を先に

  • vintage 35mm film camera を含むプロンプト(A02・A03)は色味よりも小道具に影響する。 Kodak Portra 400、Fuji Superia 400のいずれも、被写体がフィルムカメラを手に持つ・首から下げる画像が3seed中ほぼ全てで出現した。一方、A01(Fujifilm)ではカメラ小道具は出現しなかった。色味変化はいずれもコントロールと比較してわずかな彩度低下にとどまる。
  • スタイルキーワード(B群)は色味・構図に明確な変化を与える。 特にPolaroidは白枠付きインスタント写真として出力され、レトロフィルムは彩度低下・暖色シフトが顕著だった。ethereal/Kawauchiはいずれもハイライト飛び・パステル調の類似した効果になった。
  • 最もコストパフォーマンスが高いのはB05(cinematic)とB06(J-drama)。 彩度の抑制と色温度のコントロールが安定しており、肌色への悪影響も少ない。
  • フィルムストック名は「フィルムカメラを持った人物」を生成するトリガーとなるリスクがある。 色味制御目的であればスタイルキーワードの方が確実。

実験設計

項目
モデルz-image-turbo(6B、写実特化蒸留)
ステップ8
CFG1.0
サイズ1024x1024
seed3つ固定(全条件共通)
フレーミングupper body
各条件3枚(3seed)
合計10条件 = 30枚

ベースプロンプト

ベースプロンプト
1girl, 32yo japanese actress, standing, facing camera, upper body, small cafe, natural daylight, {STYLE}

小さなカフェで自然光という設定は、フィルムシミュレーションの色味変化(肌色、暖色/寒色シフト、コントラスト)が観察しやすい室内環境として選定した。

評価基準

画像の以下の属性を観察し記録する:

  • 色味の変化: 暖色/寒色シフト、彩度、コントラストの変化
  • フィルム粒子: グレインの有無・強さ
  • 全体的な雰囲気: スタイルキーワードが意図する雰囲気が再現されているか
  • 被写体の肌色への影響: 肌色が自然か、色被りがあるか

A. フィルムストック名(4条件)

実在のフィルムストック名・カメラメーカー名をプロンプトに含めた場合の効果を比較する。

A00: コントロール(スタイル指定なし)

seed 1seed 2seed 3
コントロール s1コントロール s2コントロール s3

観察: 自然光下のカフェで、3seed間で服装・構図は異なるが色味は一貫している。色温度はニュートラルからやや暖色寄り、彩度は中程度、コントラストは標準的。フィルム粒子は視認できない。肌色は自然で色被りなし。以降の比較基準とする。

A01: Fujifilm(Fujifilmカラーサイエンス)

スタイル指定
shot on Fujifilm camera, Fujifilm color science, warm film-like tones
seed 1seed 2seed 3
Fujifilm s1Fujifilm s2Fujifilm s3

観察: コントロールと比較して全体的にやや彩度が低下し、色温度がわずかに寒色寄りにシフトしている。コントラストはやや低め。粒子感は視認できない。肌色はコントロールよりわずかに青白い。ただし変化は軽微で、seed間の一貫性は高い。

A02: Kodak Portra 400

スタイル指定
shot on vintage 35mm film camera, Kodak Portra 400 film stock
seed 1seed 2seed 3
Kodak Portra 400 s1Kodak Portra 400 s2Kodak Portra 400 s3

観察: 3seed全てで被写体がフィルムカメラを手に持つ、または首から下げている。「vintage 35mm film camera」がカメラ小道具の生成トリガーとなっている。色味はコントロール比でやや彩度低下・寒色シフトが見られるが、A01と同程度の軽微な変化。粒子感は視認できない。肌色はやや青白い。

A03: Fuji Superia 400

スタイル指定
shot on vintage 35mm film camera, Fujifilm Superia 400 film stock
seed 1seed 2seed 3
Fuji Superia 400 s1Fuji Superia 400 s2Fuji Superia 400 s3

観察: A02と同様に3seed全てでフィルムカメラの小道具が出現している。色味の傾向もA02とほぼ同一で、やや彩度が低く寒色寄り。Kodak Portra 400とFuji Superia 400の間に目視で区別可能な差はない。粒子感は視認できない。肌色への影響もA02と同程度。

Group A まとめ

条件色味変化粒子感雰囲気肌色影響推奨度
A00: コントロールニュートラル〜やや暖色なし標準的なスナップ自然
A01: Fujifilmわずかに寒色シフト・彩度微減なしコントロールと大差なしわずかに青白いC
A02: Kodak Portra 400わずかに寒色シフト・彩度微減なしカメラ小道具が出現わずかに青白いD
A03: Fuji Superia 400わずかに寒色シフト・彩度微減なしカメラ小道具が出現わずかに青白いD

B. 撮影スタイルキーワード(6条件)

フィルムストック名ではなく、撮影スタイルや雰囲気を記述するキーワードの効果を比較する。

B01: レトロフィルム(1990sコンパクトカメラ風)

スタイル指定
coarse grain, flash photography, overexposure, unrealistic contrast, color saturation, 1990s compact camera
seed 1seed 2seed 3
レトロフィルム s1レトロフィルム s2レトロフィルム s3

観察: コントロールと比較して彩度が明確に低下し、全体が暖色寄りにシフトしている。ハイライトがやや飛び気味で、コントラストは低い。3seed間で一貫してフィルムライクな褪色感が出ている。粒子感はわずかに視認できる。肌色は黄味がかり、コントロールより血色が薄い印象。被写体の外見がコントロールより若く見える傾向がある。

B02: ポラロイド風

スタイル指定
Polaroid instant photo, faded colors, soft vignette, warm nostalgic tint
seed 1seed 2seed 3
ポラロイド風 s1ポラロイド風 s2ポラロイド風 s3

観察: 3seed全てでインスタント写真の白枠が生成され、木目テーブルの上に置かれたポラロイド写真として出力された。写真内の画像は小さくなり解像度が低下する。色味はやや暖色寄りで彩度は低め。構図が「ポラロイド写真の物撮り」になるため、ポートレート用途には不向き。seed間の一貫性は高い(全て白枠付き)。

メモ: 「ポラロイド」と記述すると、ポートレートではなく写真そのものを撮影した物撮り画像が生成された。ポートレートを意図する場合は注意が必要な挙動である。

B03: エモ構図(エセリアルフィルム)

スタイル指定
ethereal film photography, soft diffused light, pastel tones, overexposed highlights, visible grain
seed 1seed 2seed 3
エモ構図 s1エモ構図 s2エモ構図 s3

観察: 全体的にハイライトが飛び、パステル調の淡い色味になっている。彩度はコントロールより明確に低下し、コントラストも低い。色温度はニュートラルからわずかに寒色寄り。粒子感はわずかに視認できる。肌色は明るく白飛び気味で、コントロールより色情報が少ない。3seed間で淡い色調は一貫しているが、B04(Kawauchi)との差は小さい。

B04: 淡い光・透明感(川内倫子インスパイア)

スタイル指定
Rinko Kawauchi inspired, ethereal overexposed highlights, pastel dreamy tones, quiet contemplative mood
seed 1seed 2seed 3
淡い光・透明感 s1淡い光・透明感 s2淡い光・透明感 s3

観察: B03(ethereal)と非常に類似した結果。ハイライト飛び、パステル調の低彩度、低コントラスト。色温度はわずかに暖色寄りで、B03よりやや温かみがある。粒子感はわずかに視認できる。肌色は明るく白飛び気味。B03との差は色温度のわずかな違いのみで、実用上ほぼ同一の効果と言える。3seed間の一貫性は高い。

B05: シネマティック

スタイル指定
cinematic lighting, cinematic color grading, blue and orange contrast, shallow depth of field, anamorphic lens
seed 1seed 2seed 3
シネマティック s1シネマティック s2シネマティック s3

観察: コントロールと比較して彩度がやや低下し、暖色寄りのカラーグレーディングが適用されている。コントラストは中程度で、シャドウ側がやや持ち上がっている。被写界深度がやや浅くなり背景のボケが増加している。粒子感は視認できない。肌色は自然で暖色寄り。3seed間の一貫性は高い。B03/B04のような極端な白飛びはなく、コントロールに近い自然な仕上がり。

B06: 邦画カラグレ

スタイル指定
Japanese drama color grade, teal shadows with warm preserved skin tones, desaturated background, low contrast, matte finish, overcast flat light
seed 1seed 2seed 3
邦画カラグレ s1邦画カラグレ s2邦画カラグレ s3

観察: 彩度がコントロールより低下し、シャドウ部にティール(青緑)の色被りが見られる。コントラストは低めでマットな質感。肌色は比較的自然に保たれているが、全体の彩度低下に伴いやや血色が薄い。背景の彩度低下が顕著で、被写体との分離が生まれている。3seed間で色味の方向性は一貫している。

Group B まとめ

条件色味変化粒子感雰囲気肌色影響推奨度
B01: レトロフィルム暖色シフト・彩度低下わずかにあり褪色したフィルム調黄味がかるB
B02: ポラロイド風やや暖色・彩度低下なし白枠付きインスタント写真化確認困難(写真が小さい)D
B03: エモ構図寒色寄り・低彩度わずかにありハイライト飛び・パステル調白飛び気味B
B04: 淡い光・透明感やや暖色・低彩度わずかにありB03とほぼ同一白飛び気味C
B05: シネマティック暖色寄り・彩度低下なし浅い被写界深度・暖色調自然・暖色寄りA
B06: 邦画カラグレティール色被り・低彩度なしマット質感・背景分離やや血色薄いA

全体まとめ — フィルムストック名 vs スタイルキーワード

色味変化の強さ

スタイルキーワード(B群)の方がフィルムストック名(A群)より明確に強い色味変化を生む。A群は3条件ともコントロールとの差がわずかで、目視での区別が困難な場合がある。一方B群は、レトロフィルムの暖色シフト、ethereal/Kawauchiのハイライト飛び、シネマティックの暖色グレーディング、邦画カラグレのティール色被りなど、いずれもコントロールとの差が明瞭だった。

副作用

A群で「vintage 35mm film camera」を含むプロンプト(A02, A03)は、フィルムカメラの小道具が被写体に追加される副作用があった。B02(Polaroid)はインスタント写真の白枠が生成され、ポートレートではなく物撮り構図になる副作用があった。B05(cinematic)とB06(J-drama)は副作用が少なく、色味制御としての信頼性が高い。

トークン効率

A01(Fujifilm)は11トークンで効果が軽微。B05(cinematic)は約12トークンで明確な色味変化が得られ、トークン効率が高い。B06(J-drama)は約18トークンだが、ティール&オレンジの分離効果がユニークで代替しにくい。B03(ethereal)とB04(Kawauchi)はほぼ同一の効果になるため、トークン数の少ないethereal系のキーワードで十分。

B03とB04の重複

ethereal film photography(B03)とRinko Kawauchi inspired(B04)は、ハイライト飛び・パステル調・低彩度という点でほぼ同一の出力になった。写真家名の指定は追加のトークンコストに見合う差を生んでいない。

推奨プロンプト

色味制御の目的別に推奨するプロンプトを以下に示す。

暖色系・浅い被写界深度が欲しい場合:

シネマティック(推奨)
cinematic lighting, cinematic color grading, blue and orange contrast, shallow depth of field, anamorphic lens

低彩度・マット仕上げ・背景との色分離が欲しい場合:

邦画カラグレ(推奨)
Japanese drama color grade, teal shadows with warm preserved skin tones, desaturated background, low contrast, matte finish, overcast flat light

ハイライト飛び・パステル調が欲しい場合:

エセリアル(推奨)
ethereal film photography, soft diffused light, pastel tones, overexposed highlights

非推奨: フィルムストック名(Kodak Portra 400等)は色味変化が軽微なうえ、カメラ小道具が出現する副作用がある。Polaroidはインスタント写真の物撮り構図になるため、ポートレート目的では避けるべき。

メモ: フィルムストック名ではなくスタイルキーワードを使う方が実用的、というのが今回の結論である。cinematic と邦画カラーグレーディングの2つは副作用が少なく実用的だった。フィルムストック名は画面内にカメラが写り込む副作用が発生しやすいため避けた方がよい。

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